鉄道こぼれ話〜運転整理〜

323系電車 RAILWAY
今回は少しマニアックなお話

皆さんは通勤・通学時に電車の遅れで待たされた経験ってありますか?

電車が遅れてしまう原因は様々あるんですが、その遅れを取り戻す方法は3〜4種類ぐらいしかありません。

今日はそのうちの一つ、「運転整理」について軽くお話したいと思います。

山手線と大阪環状線

今回ご紹介する「運転整理」が使われるのは、環状運転している路線です。

関東なら山手線、関西なら大阪環状線ですね。

名古屋の地下鉄名城線も環状運転してますが、そこも同じかどうかは分かりません…

列車が遅れたら何が怖い?

電車が遅れる原因は様々です。

痴漢・急病人・信号機故障・乗務員が体調不良・乗り換え待ちなど数え切れませんが、起こることは一つです。

当該の列車が数分〜十数分止まってしまうこと。

こうなると、前後の駅では何が起こるでしょうか?

環状運転の路線では、ま〜るい路線の中にほぼ等間隔で駅があり、ほぼ等間隔で列車が走っています。

もし一つの列車が止まれば、ぐるぐる回っていた列車の流れに栓ができてしまうんです。

すると前方の駅では、「さっきからぜんぜん電車が来ないな〜」となってしまいます。

さらに後方の駅では追いついてきた電車が「駅に入りたいけど、前で止まってる電車が邪魔で入れない」状態になります。

環状線や山手線の駅では次々に利用客がやって来ます。そこに電車がなかなか来ないとなると、どんどん駅に人が溜まっていきます。

そんな人でギュウギュウのホームに電車が入ってきたら危ないですよね?

運転整理でできること

そんな時に効果的なのが「運転整理」です。どんな方法かというと、

止まっている・遅れている列車の前を走る列車をわざと遅らせます。

止まっている列車の後ろがダイヤより遅れるのは分かりますが、前を走る遅れてない列車をワザと遅らせる…ちょっと理解に苦しむかもしれませんね。

この運転整理で、一体どんな効果が期待できるのでしょうか。

効果①ホームの安全確保

ホームの車掌/運転士の位置にある、小さめのLED表示機に「整理/3分」とかの表示が出ます。

この場合、車掌はダイヤ上の発車時刻より3分発車を遅らせます。

するとどうなるか

少なくとも3分間は、その駅に集まって来た旅客を車内に乗せることができます。

つまり、ホームが旅客で溢れてしまうことを防げるんです。

効果②運転再開時の列車間隔保持

一周40〜60分の環状運転の路線で、一つの列車が15分ほど止まった場合を考えます。

この時もし他の列車を普通に動かしてしまうと、環状線の輪っかの左右どちらかに列車が集中してしまいます。

これだと運転が再開した時に列車の運転間隔が偏ってしまい、元のダイヤに戻しづらくなります。

あらかじめ運転整理をして、前方を走る列車を各駅で数分ずつ止めておくことで、運転再開時に適度な間隔が保てるようになります。

効果③特定列車への旅客集中防止

これも運転間隔と関係してきますが、例えば環状運転の路線である列車が15分止まったとします。

この時効果②で説明したように、各駅である程度他の列車を止めておけば、旅客はその列車に乗り込めます。

もし、運転整理せずに他の列車を動かしてしまうと、その後15分間は次の列車が来ません。すると運転が再開した際、最初に来た列車に旅客が集中してしまいます。

各駅で溜まりに溜まった旅客が、既に満員の列車に殺到する…そんな状態を防ぐために運転整理をかけています。

列車抑止と抑止表示器

次に、運転再開時に止まっていた列車の後ろに居る列車のことを考えてみましょう。

環状運転の路線では、ダイヤ上だいたい3〜5分の運転間隔が開いています。

後ろで止まっていた列車を一斉に運転再開させてしまうと、1分とか2分の運転間隔になってしまいます。いわゆる「団子状態」ですね。

これを等間隔(=元のダイヤ)に戻すために、駅のホームには「抑止表示器」というものが設置されています。

実は運転整理の時にも使われていたこの装置。ここに「抑止」とか「解除」などの表示が出ます。

環状路線の駅以外にも設置されています。

仮に駅間の所要時間が2分かかり、後ろ3つの各駅に列車が居たとします。運転再開時に「抑止」の表示を3分・6分・9分後に「解除」とすれば、元の5分間隔に戻すことができるんです。

ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、こうやって少しずつ元のダイヤに戻しているんですね。

ひねり

運転整理で列車同士の間隔は保てました。ではその後どうやって遅れを取り戻すのでしょうか?

答えは簡単、遅れている列車をダイヤから間引いてしまうんです。

運転整理や抑止表示によって列車同士の運転間隔が5分前後になったら、ダイヤ上遅れている列車を起点駅で「遅れの無い列車」に変更します。

仮にA駅に来る列車が10分遅れていたら、A駅からは10分後を走る列車として運転(=時刻通りに運転)させます。

これを数回くり返せばあら不思議、遅れの無い状態に戻ります。これは他の路線でも使われる方法で、「ひねり」と呼ばれています。

最後に

気がつけばかなり長くなってしまいましたね…

語彙力が足りなくて上手く伝えきれず、申し訳ありませんでした!

環状運転の路線って、遅れを戻すために「途中で折り返し」とかができないんですね。ぐるぐる一方向に回っているので、折り返すという概念がありません。

だからこそ独特な方法で、不便を最小限に抑える努力をしています。

今回はそんな努力が少しでも伝わればいいな、と思って書いてみました。

長々とお付き合いありがとうございました!

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