鉄道会社と急病人の関係

医療機器の写真 RAILWAY
明日は我が身!?急病人

最近息子が生まれました!カリブです。

さて本日は鉄道業界の急病人発生の実態をお届けしますよ~!

皆さんは電車内や駅のホームで「急病人発生のため〇分遅れています」というアナウンスを聞いたことがありませんか?

そのとき現場では何が起こっているのか?
もし自分が急病人になったらどうなってしまうのか?
乗務員が体調不良になった場合は?

わたくしカリブが知る限りの情報を、業界話を交えつつお届けします!

急病人が発生する理由

そもそも、車内やホームで発生する急病人ってどんな症状が多いのでしょうか?

元気な人が突然、気分が悪くなったり体調不良になるから「急病人」なのです。

当然、救急搬送や救護室での手当が必要になるため、駅員や乗務員が対応することとなります。

どうして急病人が発生するのか?その主な原因は「環境の変化」と「持病の悪化」が挙げられると思います。

カリブの経験による考察

今まで私はたくさんの急病人を見てきました。その中から代表的な症状と、その発生理由をいくつかご紹介します!

熱中症

熱中症はこれからの暑い季節に特に多いですね~、
ホーム上はもちろん、クーラーのきいた車内でも発生することがあります。

特にラッシュ時の満員電車では、背の低い女性などが周囲からの圧迫で酸欠状態になり、熱の逃げ場がなくなって倒れてしまうケースが多いですね。

駆けつけるとだいたい汗びっしょりなのですぐに分かります。

対応方法は涼しい場所で脇の下を冷やし、水分補給してもらうことです。
駅事務室内の救護室や、クーラーの効いた待合室などで応急処置をして、症状が改善しない場合には救急車を手配します。

貧血・立ちくらみ

これらの症状は女性に多いのですが、気分の悪いお客様がホームで急に座り込んだり、車内で倒れてしまうことがあります。

体感的には、なぜか月曜日の朝に発生率が高い気がします。

土日の連休が明けて、ゆううつな気持ちで電車に乗り込み、3日ぶりの早起きで血圧が低下したところで立ちっぱなしの通勤ラッシュ。もともと体力が少ない小柄な女性は貧血・立ちくらみを発生させる・・・

と勝手にストーリーを空想しているのですが、どうでしょうか?

ほとんどの場合、しばらく休むと回復するため救護室のベッドで仮眠してもらうことが多いですね。

ガチの病気

こればっかりは仕方がないですよね。

カリブも以前、持病の発作が起こって心肺停止→駅構内のAED(体外式除細動器)を使って心臓マッサージ→なんとか息を吹き返す、という体験をしたことがあります。

その他にも、急に倒れてから全身がけいれんを起こす・意識を失ったまま転倒して大ケガをするなど、様々な「持病の発作による急病人」がいました。

この場合は救急搬送されることが多いですね。発生理由も「運」としか言いようがありません。

急病人発生から解消までの流れ

さて、もしも電車内やホームで急病人が発生した場合には、現場でどのような対応が行われているのでしょうか。

ほとんどの場合、最初に駅は駅員、電車内は車掌が対応します。そのあとバトンタッチをしながら最終的には救急搬送か、自然回復して「お大事に~」となります。

以下に駅構内と電車内で発生した場合の大まかな流れをご紹介します。

ホームで発生した場合

駅構内で急病人が発生した場合、

  • お客様が気づいて改札の係員に申告する
  • 巡回中の駅員や乗務員が気づいて改札へ申告する
  • 本人が改札へ来て「休ませてほしい」と申告する

となり、結局は駅員が現地で対応することになります。

くわしい状況は現地に着くまで分からないため、とりあえず折りたたみの車イスを持って、2人以上で急病人の元へ向かいます。

  • 急病人の意識が無い場合→救急車の手配
  • 意識があって自力では移動が難しい→車イスで救護室まで移動する
  • 意識があり、自力で歩くこともできる→付き添いながら救護室まで案内する
  • 「大したことない、もう大丈夫」と申告→そのまま旅行を継続

ちなみに、大きな駅にしか救護室はありません。それ以外の駅では駅事務室の一部を目隠しカーテンなどで区分けした空間に簡易ベッドを置いている程度です。

医療行為ができるわけでもなく、エアコンの効いた部屋で横になったり、水分補給することぐらいしかできません。

だから2~30分たっても回復しない場合は消防へ通報し、救急車を呼んで病院で対応してもらうことになります。

車内で発生した場合

電車内で急病人が発生した場合には、

  • ほかのお客様が気づいて車内非常ボタンを押す
  • 本人が車内非常ボタンを押す
  • 車掌が目に届く範囲内で発生した急病人を見つけ、緊急停止させる
  • 駅に停車中の場合はホーム非常ボタンが押される

いずれの場合も、走行中であれば車掌が列車を停止させ、状況を確認したのち無線で指令所へと連絡します。

急病人発生の連絡を受けた指令所は、いちばん近い停車駅へ「急病人が発生したので、駅で対応してください」と依頼します。
乗務員から駅員へとバトンタッチしていく感じですね。

ホーム非常ボタンが押された場合には当然駅員が現地対応することになります。

連絡を受けた駅員は、

  • 救護室のベッドメイクを済ませる
  • 当該の列車が来るホームへ車イスを持って走行する
  • 業務用の携帯電話で指令所とハンズフリー通話を始める

結局のところ、車内で発生した場合も駅員が対応するわけですね。
乗務員は急病人を駅員へ引き継いだあと、そのまま仕事に戻ります。

あとは「ホームで発生した場合」と同じ流れで対応となります。

乗務員が急病になったら?

乗務員だって人間です。当然、乗務中に体調不良となることだってあるでしょう。

そんな場合、まさか自分で非常ボタンを押すわけにもいきません。

もしも乗務員が体調不良になってしまった場合は、どうなるのでしょうか?

しょせん駅員であるカリブが知る限りの情報ですが、少しお話したいと思います。

カリブの業界見聞録

  • 乗務中にどうしてもトイレに行きたい!→駅のトイレへ緊急脱出
  • 走行中の運転士が意識不明に!→EB装置が列車を緊急停止させる
  • 走行中の車掌が意識不明に!→おそらく駅でドアが開かないので判明する
  • 意識はあるけど乗務はもうムリ!→他の乗務員が来るまで運転休止
  • 昔、運転室内でウ〇コをもらしてしまった乗務員がいたらしい。

これは業界用語かもしれませんが・・・
乗務員がトイレへ緊急脱出している間、他の駅に対して「乗務員が業務連絡のため遅れています」と情報が回ってきます。

さすがに「乗務員がトイレを我慢できないため遅れています」とは言えないですからねぇ。

運転台の手元にはEB装置(緊急列車停止装置)のボタンがあります。
ハンドル操作など、一定時間(30秒~1分)まったく操作が行われないと「ビーッ」と音が鳴り、ボタンが点灯します。
5秒以内に確認操作(ボタンを押す)をしないと、列車が緊急停止します。

運転士が意識不明になった場合は1分以内に列車は緊急停止します。
まぁ、もしかすると停車駅を通過する場合があるかもしれませんが、他にも様々な安全装置があるので安全に停止することができます。

車掌が意識不明になった場合は・・・私の知る限り安全装置は無いので、次の停車駅でドアが開かない→異常発生か?→車掌が倒れてる!
となりそうな気がします。

「意識はあるけど乗務を続けるのはムリ」ぐらいの体調不良の場合は、本人が指令所を介して交代の乗務員を手配します。
その乗務員が到着するまでは列車の運転が止まってしまいます。

いずれの場合にせよ、乗務員にとっては苦渋の決断の末に取った行動です。
くれぐれも列車が遅れたからといって、当人を責めるようなことはしたくないものですね。

その他、こぼれ話

  • コロナのせいで事務室内より待合室で待機してもらうことが増えた
  • 駅構内のAEDは、いつでも使えるように毎日バッテリー確認を行っている
  • 熱中症対応のため、駅にはお客様用の水や経口補水液が用意してある
  • 駅の救急箱に薬は入っていない、包帯とかバンドエイドばっかり
  • 駅には意識のない人を運ぶための担架も常備している
  • バスケット担架という硬~い担架もあり、負傷者を線路内からホームへ引き上げるのに役立つ
  • ホーム上の急病人を乗務員が見つけた場合、駅員に引き継ぐまで列車の発車を見合わせることがある

まとめ

とりあえず私が言いたかったのは、急病人対応の現場では「駅係員が頑張っている」ということです。

別に駅員だけが頑張っているわけではなく、目の前にいる急病人を少しでも早く助けたいという想いは、乗務員であれ駅員であれ同じです。
お互いに連携することでスムーズな運転再開につながります。

これからは駅のホームで「車内急病人が発生したため~」とかで列車が遅れていたとしても、現地で対応している乗務員や駅員が居ることを、少しでも想像していただけたら嬉しいです。

列車の遅れより、まず安全!
皆さんのご理解・ご協力に日々感謝しています。

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